2009年10月24日

米軍ウッドランドBDUジャケットのバリエーション

 こんばんは。ビッキー池田です。今回はウッドランドBDU(バトルドレスユニフォーム)のバリエーションについて紹介しようと思います。ただし、100%コットンか50%ナイロン50%コットンなどという時期による生地の違いは研究中なので、今回紹介するのは服のデザインのバリエーションです。


 ウッドランドBDUは1981年(1980年?)に採用された戦闘服で、それ以前に採用されていたERDLリーフやLC-1リーフを参考に開発された戦闘服です。それまで亜熱帯や熱帯で使用されていたリーフと温帯や寒冷地で使用されていたユーティリティ、特にユーティリティを更新する目的で作られたものと思われます。



 1983年のグレナダ侵攻がウッドランドBDU初の実戦投入のようです。このときはジャングルファティーグやリーフパターンを使用していた部隊も多かったです。



 実戦投入というのは不適切かと思いますが、1982年から1984年にかけてレバノンに多国籍軍の一員として駐留した海兵隊でもリーフパターンと共に使われていました。


 熱帯・亜熱帯向けのリップストップ生地のウッドランドBDUの生産が始まったのは1984年頃からなので、80年代中期まで熱帯・亜熱帯ではウッドランドBDUと共にジャングルファティーグやリーフが使用され、リーフについては一部90年代初期まで使用されました。



 その後、パナマ侵攻、湾岸戦争、ユーゴスラビア紛争、フィリピンや中南米での反政府運動への介入において米軍はウッドランドBDUを使用し、2000年代中期までは州兵で現役だったようです。また、米軍以外にも多くの国でウッドランドBDUは使用され、一部の国ではいまだに使われ続けています。



 さて、以上のように長い間米軍で使われてきたウッドランドBDUですが、ジャケットを初期型、中期型、後期型の3種類に分けることが出来ます。まずは1981年から1984年頃まで生産された初期型です。


 初期型の特徴は中期型以降より大きな襟、中期型以降より少し小さい胸ポケット、胸ポケットのマチが内側(前あわせ側)の3点です。この大きな襟はエルビスカラーとも呼ばれています。このジャケットの胸ポケットには海兵隊のマークが入っており、海兵隊で使用されていたものです。なお、このジャケットのコントラクトNoはDLA100-83-C-0603で、生地は50%コットン50%ナイロンになっています。


 中期型(写真下側)のポケットとのサイズ比較です。


 中期型(写真下側)の襟とのサイズ比較です。

 もう1点初期型に特徴がありました。中期型(写真右側)と比べて、袖のボタンタブが小型になっています。

 なお、背中側にウェスト調整用ストラップがあるものを初期型、ないものを後期型と分類する方式がよく知られていますが、それは正しくありません。自分があげた写真を見て分かるように、初期型にはウェスト調整用ストラップが無いのです。


 続いて、1984年頃から1995年頃まで生産された中期型です。この中期型からノンリップ生地とリップストップ生地の2種類のバリエーションが登場しました。ノンリップ生地のものは温帯や寒冷地向けでリップストップ生地のものは熱帯や亜熱帯向けです。なお、中期型の中で袖のボタンタブのタイプが違うものが存在するのですが、時期による違いかどうかは不明です。おそらくノンリップ生地のものかリップストップ生地のものかで袖のボタンタブが違うのだと思いますが、よく分かりません。


 中期型以降は襟が小さくなり、胸ポケットが少し大きくなり、胸ポケットのマチが外側(袖側)についています。中期型独特の特徴は背中側のウェスト調整用ストラップです。


 ちなみにこのジャケットの胸ポケットについているパッチは陸軍リクルーター章なので、広報官の使用品と思われます。その他にシニアのエアクルー章、コットン製ARMY章、先任曹長階級章、第10山岳歩兵師団SSIがついています。全て徽章類は官給品です。また、このジャケットのコントラクトNoはDLA100-86-C-0629となっています。生地は50%ナイロン50%コットンです。


 最後に後期型です。


 後期型では背中側のウェスト調整用ストラップがなくなっています。その他の特徴は中期型と同じです。なお、このジャケットにはグリーンベレーのSSIとスペシャルフォースタブ、レンジャータブ、ARMY章、大尉階級章、特殊部隊兵科章が付いています。降下章などのスキルパッチはもともと付いていなかったようです。全てパッチ類は官給品と思われます。コントラクトNoはDLA100-90-C-0391となっています。生地は50%ナイロン50%コットンのリップストップ生地です。

 もう1点中期型と後期型の違いがありました。中期型(写真左側)と比べて後期型は袖のボタンタブが短く、袖の折り返し部分が広く縫われています。




 ウッドランドBDUは以上のように服の作りで3タイプに分けられますが、最初に書いたように生地の素材の違いのバリエーションもあり、ラベルのタイプにもバリエーションがあります。これについても研究中ですので、いずれ紹介予定です。

 赤字で追加した部分はアカトラさんのご協力で判明した特徴です。ご協力ありがとうございました。



 以下の記事も参考にどうぞ。
米軍ウッドランドパターンM65フィールドジャケット


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Posted by ビッキー池田  at 01:53 │Comments(14)衣類

この記事へのコメント
いやぁ~丁度ウッド買おうと思っていたので勉強になりました
知名度は非常に高いのにバリエーションやら調べて公開してる場所が殆ど無いので助かりました

ただ欲しい年代のを上下揃えるのが大変そうですが・・・
Posted by 鶴屋軍兵 at 2009年10月24日 02:55
 コメントありがとうございます。参考になったようで幸いです。


 後期型は上下で年代あわせても結構簡単に手に入るんですが、中期型だと少し大変かと思います。そして、80年代初期のウッドランドBDUトラウザーズはかなり希少になっているので、初期型ジャケットとあわせて入手するのはかなり大変です。

 ただ、まだ研究中なので断定はしませんが、トラウザーズは極初期に生産されたものの前合わせのボタンが5つになっている以外は時期による作りの違いはないと思います。よって、見た目には上下で年代が違っても分からないかと。
Posted by ビッキー池田ビッキー池田 at 2009年10月24日 03:13
おー!これは素晴らしい。

簡単な見分け方は、、、
初期(1st)=大襟、ウエストストラップ無し
中期(2nd)=小襟、ウエストストラップ有り
後期(3rd)=小襟、ウエストストラップ無し
といった感じですかね。

ちなみに初期の方と後期の方では、袖口の形状にも違いがあります。後期の方が袖の折り返し&ボタンタブが大きくなっておりますデス。
Posted by アカトラアカトラ at 2009年10月24日 05:10
 コメントありがとうございます。リクエストにお答えできて良かったです。


 そうですね。簡単に見分けるには襟の大きさとウェストストラップの有無を比べるのが良いと思います。また、ジャングルファティーグやユーティリティは初期、中期という言い方より、1st、2nd、3rdという言い方が一般的かと思うので、BDUも1st、2nd、3rdとした方が良いかもしれません。

 袖口の件、さっそく確認いたしましたが、仰るとおりでした。初期、中期、後期でボタンタブや袖口の折り返しの長さが違いますね。また、後期型の中でボタンタブの縫い方が微妙に違うものを発見しました。時期による違いか工場による違いか研究してみようと思います。貴重な情報ありがとうございました。後日写真を撮って追記しようと思います。
Posted by ビッキー池田ビッキー池田 at 2009年10月24日 05:53
mixiからやってきました~
自分はウッドランドは守備範囲外だったのですが、なるほど、確かにパッチ付きはコレクションのし甲斐がありそうですね~!
しかし、初付けなのか後付なのかの判断が非常に難しそうなので難易度は意外と高そうですね^^;
たいへん参考になりました。
次はパンツの方の分類もお願いします~
Posted by タケルノヱビス at 2009年10月28日 17:49
 初めまして。訪問及びコメントありがとうございます。参考になったようで幸いです。


 パッチ付きウッドランドBDUはそれほど値段も高くないので、コレクションに最適かと思います。ジャングルファティーグですと、使用された地域が限られているので、付いているパッチもある程度限られてきますが、ウッドランドBDUは一応全地域向けだったので、様々なパッチが付いたものを見ることが出来ます。

 また、仰るとおりで初付け、後付けの問題がありますが、今のところ値段が高いものでもないので、後付けを買ってしまっても損害は僅かですw


 さて、ウッドランドBDUトラウザーズのバリエーションは現在研究中ですが、ジャケットと比べて古いものがあまり残っていないので、調査に時間がかかりそうです。

 ただ、他のコメントへの返信でも書きましたが、おそらくトラウザーズはごく初期に生産されたものの前合わせのボタンが5つになっている以外にバリエーションはないかと思います。(もちろん生地の違いは別にありますが)
Posted by ビッキー池田ビッキー池田 at 2009年10月29日 00:13
はじめまして。
今度サバゲーに初参加しようと思っており、迷彩服も手に入れようと思っています。ウッドランドが好みなので大変参考になりました。

一点質問なのですが、基本的にジャケットはパンツにinしないものなんでしょうか?おなかの辺りにポケットがあるということは、inせずに外に出すんでしょうね、きっと。自分的には、ウッドランドをパンツにinして着こなしたいのですが、おかしいでしょうか?
Posted by Yuchipa at 2009年12月13日 16:59
 返信遅れて失礼しました。初めまして!


 まず、Yuchipaさんの軍装への考え方と参加するサバゲーの参加者の考えが重要かと。そこまで装備にこだわらない感じなら、好きに着て良いと思います。服や銃以外の装備にもちゃんと拘わるなら、どう着るかちゃんと考えるべきですが。


 さて、装備全体に拘ると仮定して話を進めますが、仰るとおりで普通はジャケットの裾はトラウザーズに入れない着方をします。実際の写真を見ても普通はそうです。ただし、STABOハーネスを装着する場合は裾を入れますし、ラペリング降下のときにも裾を入れることがあります。このような場合を想定した装備にするなら、裾を入れていても自然です。
Posted by ビッキー池田ビッキー池田 at 2009年12月17日 19:39
ビッキー池田様

返信ありがとうございます。
参考になりました。

本日、オークションで落札した1982年製米軍実物ウッドランド上下が手元に届きました。サイズが気になっていたのですが、なんとか着れそうです。気になっていたジャケットを裾をパンツにinさせてみましたが、特にカッコ悪くはなかったので安心しました。

一点質問させて下さい。
1982年製だとリップストップ製法で作られたものと考えてよいでしょうか?
Posted by Yuchipa at 2009年12月23日 22:18
 またも返信遅れて大変申し訳ありません。自分の返信が参考になったようで、幸いです。


 年々日本人向きのサイズのウッドランドBDUは数が減ってきているので、着れるサイズが手に入って良かったですね。


 生地についてですが、リップストップ生地のウッドランドBDUの登場はウッドランドBDUの中期型の登場と同じ1984年以降と思われます。少なくとも自分は初期型でリップストップ生地のものは見たことがありません。

 もしお持ちのウッドランドBDUがもし1982年製でリップストップ生地のように見えるのであれば、それはウッドランドBDUではなくいわゆるLCリーフ(LC-1リーフ)かと思います。
Posted by ビッキー池田ビッキー池田 at 2009年12月27日 01:29
はじめまして。
BDUの納入業者?についてのお尋ねです。

先日、友人よりウッドランドBDUをいただきました。
(キャンプ座間の開放イベントに行き、米軍住宅のフリー
マーケットで購入したそうです。)
そこで、貴サイトを参考にコントラクトやNSNを確認したところ

★グリーンのパッチ
★DLA-100-c-△408 (△部分は、毛羽立ちで読み取れませんでした)
★8415-01-084-1656
★襟の大きさやポケットのマチの位置などから、"初期型"と思われる

までは分かりました。
しかし、これを作った「GIBRALTAR INDUSTRIES INC」なる会社に
ついての資料が見当たらず、困っております。
熟練の方から見れば取るに足りない疑問かとも存じますが、ご教示を
お願いいたします。
Posted by ミリタリー初心者 at 2010年10月16日 21:33
 初めまして!ご質問およびご訪問ありがとうございます!!返信が遅れて申し訳ありません。


 襟が大きければ、初期型ということで間違いないかと思います。「グリーンのパッチ」というのはラベルのことでしょうか?初期型でラベルが緑色であれば、1983年ロットの可能性が高いかと思います。

 さて生産メーカーについてなのですが、正直自分も分かりません。検索してみると同じ名前の企業のHPがいくつか見つかりますが、別の企業のように感じます。現在では存在していないメーカーの可能性も・・・。

 おそらく多くの方がそうだと思いますが、自分の場合は米軍の戦闘服の生産メーカーは多種多様なので、どこのメーカーがどうというようなことはほとんど把握しておりません。メーカーによっては仕様を微妙に変えていたり、ラベルのタイプが違ったりと言うことがあるので、調べると興味深い分野だとは思います。

 お役に立てず申し訳ありません。


 なお、「DLA-100-c-△408」の100とCの間に81~83の数字が書かれていたかと思うのですが、入っていなかったでしょうか?
Posted by ビッキー池田ビッキー池田 at 2010年10月21日 15:07
丁寧なお答え、ありがとうございます。
説明が足りない部分があったことをお詫びして、補足します。

>グリーンのパッチ
はい、ラベルのことです。衿と右前身ごろ裏にあります。

>DLA-100-c-△408 の100とCの間
すみません、記入ミスでした。「83」 と入っています。


かように深いものだとは心得ず、ご無理を言って申し訳ありませんでした。
友人にも、教えていただいたことをぜひ伝えたいと存じます。
Posted by ミリタリー初心者 at 2010年10月21日 22:50
 やはり数字は100とCの間の数字は83すなわち、1983年ロットだったのですね。

 お役に立てず申し訳ありませんが、また何かあればご質問くださいませ。
Posted by ビッキー池田ビッキー池田 at 2010年10月23日 14:18
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