2009年06月07日
米軍2バックル式ジャングルブーツ
こんにちは。ビッキー池田です。今回は米軍の旧型のジャングルブーツについて紹介しようと思います。旧型のジャングルブーツというと、タビブーツなどと呼ばれる太平洋戦争時のODキャンバス生地製ジャングルブーツを思い浮かべる人が多いかと思いますが、今回するのはそれより後に採用されたバックル式のものです。
太平洋戦争が始まり、熱帯地域では従来のサービスシューズは蒸れて暑かったようで、熱帯用のブーツの開発が始まりました。そして、開発されたのが、上記のODキャンバス生地製のジャングルブーツです。遅くとも1942年からは生産されていたようですが、資料不足で分かりません。

分かりにくいですが、革を一切使っていないブーツで、アイレット(ハトメ)とホックを併用しています。ソールの違いなどで何種類かバリエーションがあるようで、陸軍と海兵隊の両方で使われたようです。このタイプのブーツを自分は持っていませんし、資料も不足しているので、このタイプに関しては今回これ以上説明しません。
さて、革を使わないのはやはり強度的に問題があったのか、1942年中にはバックル式で革とキャンバス生地を混用したタイプのジャングルブーツが試作されました。このタイプはM43コンバットブーツとは違い、バックルが3つずつありました。少なくともソールのバリエーションは2種類はあったようです。その後、1944年にバックルが2つずつのジャングルブーツが完成し、採用されました。1943年に採用されたM43コンバットブーツと大変作りが似ていて、M43コンバットブーツを参考に前述の試作ブーツを改良したのだと思われます。1945年から配備が始まったようですが、太平洋戦争には間に合わなかったようで、使用が確認できるのはベトナム戦争からです。1965年ごろまでは使用が確認できますが、使用率は高くはなかったようであまり写真は多くありません。沖縄からベトナムへ派遣された軍事顧問が使用していたため、海外のコレクターには沖縄ブーツと呼ばれることがあります。バリエーションとしては若干ソールが違うタイプを確認しました。



ミッチェルパターンのジャケットを着た人はBDQ(南ベトナム軍レンジャー部隊)に派遣された第1特殊部隊群の隊員だと思われます。その右の人はリザードパターンもしくはブラッシュパターンの戦闘服を着ているのが興味深いところです。その次の写真の右端の方に少し写っている人がバックル式のブーツを履いていますが、M43コンバットブーツもベトナム戦争初期に使われていたのでジャングルブーツかM43かは判断しかねます。
さて、それでは自分のコレクションのジャングルブーツを紹介します。残念ながら自分は1942年の試作タイプやソールが若干違うバリエーションは持っておらず、1足だけ入手に成功したのでそれを紹介します。日本では知名度が低いので海外より安く販売されるとはいえ、世界的にだいぶ数が少なくなっているようなのでこれ1足だけでもかなり入手は大変でした。これは1951年製です。




M43コンバットブーツとの比較写真も載せておきます。




最後になりましたが、以下のフォーラムで自分のコレクションとソールの違うタイプや試作タイプなどの写真があるので、良かったら参考にどうぞ。
http://www.usmilitariaforum.com/forums/index.php?showtopic=1110
太平洋戦争が始まり、熱帯地域では従来のサービスシューズは蒸れて暑かったようで、熱帯用のブーツの開発が始まりました。そして、開発されたのが、上記のODキャンバス生地製のジャングルブーツです。遅くとも1942年からは生産されていたようですが、資料不足で分かりません。

分かりにくいですが、革を一切使っていないブーツで、アイレット(ハトメ)とホックを併用しています。ソールの違いなどで何種類かバリエーションがあるようで、陸軍と海兵隊の両方で使われたようです。このタイプのブーツを自分は持っていませんし、資料も不足しているので、このタイプに関しては今回これ以上説明しません。
さて、革を使わないのはやはり強度的に問題があったのか、1942年中にはバックル式で革とキャンバス生地を混用したタイプのジャングルブーツが試作されました。このタイプはM43コンバットブーツとは違い、バックルが3つずつありました。少なくともソールのバリエーションは2種類はあったようです。その後、1944年にバックルが2つずつのジャングルブーツが完成し、採用されました。1943年に採用されたM43コンバットブーツと大変作りが似ていて、M43コンバットブーツを参考に前述の試作ブーツを改良したのだと思われます。1945年から配備が始まったようですが、太平洋戦争には間に合わなかったようで、使用が確認できるのはベトナム戦争からです。1965年ごろまでは使用が確認できますが、使用率は高くはなかったようであまり写真は多くありません。沖縄からベトナムへ派遣された軍事顧問が使用していたため、海外のコレクターには沖縄ブーツと呼ばれることがあります。バリエーションとしては若干ソールが違うタイプを確認しました。



ミッチェルパターンのジャケットを着た人はBDQ(南ベトナム軍レンジャー部隊)に派遣された第1特殊部隊群の隊員だと思われます。その右の人はリザードパターンもしくはブラッシュパターンの戦闘服を着ているのが興味深いところです。その次の写真の右端の方に少し写っている人がバックル式のブーツを履いていますが、M43コンバットブーツもベトナム戦争初期に使われていたのでジャングルブーツかM43かは判断しかねます。
さて、それでは自分のコレクションのジャングルブーツを紹介します。残念ながら自分は1942年の試作タイプやソールが若干違うバリエーションは持っておらず、1足だけ入手に成功したのでそれを紹介します。日本では知名度が低いので海外より安く販売されるとはいえ、世界的にだいぶ数が少なくなっているようなのでこれ1足だけでもかなり入手は大変でした。これは1951年製です。
M43コンバットブーツとの比較写真も載せておきます。
最後になりましたが、以下のフォーラムで自分のコレクションとソールの違うタイプや試作タイプなどの写真があるので、良かったら参考にどうぞ。
http://www.usmilitariaforum.com/forums/index.php?showtopic=1110

2009年05月10日
米軍サイドジッパー付きブーツ(官給品改造品)
こんばんは。ビッキー池田です。今回は米軍官給品のブーツの改造品と思われるサイドジッパー付きのブーツを2足紹介します。
これまでに米軍官給品でサイドジッパー式のブーツは存在しなかったと思われます。ブーツが無ければ行軍できません。なので、壊れる可能性のあるサイドジッパー式のブーツを採用したとは考えにくいのです。火災の際に火傷を負う可能性もあり、CVC(Combat Vehicle Crew)用やフライト用のブーツとしても採用されたとはも思えません。よって、今回紹介する2つのブーツには米軍官給品を示す刻印があるようですが、官給品を個人で改造したものと判断します。もしかすると、試作品かもしれません。



交換後まただいぶ磨り減ったようですが、ソールは交換されています。1950年代から1960年代中期まで生産されたツウキャップ(つま先の補強)付きの黒革製コンバットブーツを改造したもののようです。
余談ですが、黒革製でも茶革製でもツウキャップ付きのブーツはよくジャンプブーツと間違えられますが、それは違います。ブーツの外側側面の縫い目、先端の形状、ツウキャップの縫い目などがジャンプブーツとその他のツウキャップ付きブーツでは違います。文章だけでは分かりにくいと思うので、いずれ写真を挙げて紹介したいと思いますが、茶革製ジャンプブーツをまだ入手していないのでいつの更新になるか分かりません。

改造なしの同時期の黒革製コンバットブーツとの刻印の比較です。見にくいと思いますが、改造なしの方は「10N GJ 7-65」、サイドジッパー付きは「10R ?? 7-62」と表記されています。最初の10Nと10Rはサイズ表記、最後の7-65と7-62は65年製と62年製を示しているようですが、他は調査中です。刻印から本来は官給品であることが分かります。


TALONのブラスジッパーが使われています。片方は上部がそろっているのに、片方は上部が揃っていないという縫い方の適当さが試作品ではなく改造品であるという感じを出しています。
2足目は1960年代中期から1970年代中期まで生産されたタイプの黒革製コンバットブーツを改造したもののようです。



1960年代中期から黒革製コンバットブーツのソールはシェブロン型ソールに代わりました。これはそのシェブロン型ソールのブーツの改造品のようです。また、ジッパーは1足目のブーツのものと同型と思われるTALONのブラスジッパーが使われています。

同時期の黒革製コンバットブーツ(厳密にはこちらは上半分と下半分のアイレットの間に隙間のある1970年代中期から1980年代中期まで生産されていたタイプですが)との刻印の比較です。見にくいと思いますが、改造なしの方は「7 1/2W PJ 5-76」、サイドジッパー付きは「11N GJ 11-73」と表記されています。
ジッパーが同型と思われること、ジッパー周辺部分の縫い方が似ていることから考えると、同一業者(もしくは同一人物)による改造品の可能性が考えられます。官給品改造品ですが、米軍将兵の使用品ではなく、放出後に民間で改造されたものである可能性も否定できません。なお、自分はこの2足のブーツをどちらとも同じ方から購入しました。
これまでに米軍官給品でサイドジッパー式のブーツは存在しなかったと思われます。ブーツが無ければ行軍できません。なので、壊れる可能性のあるサイドジッパー式のブーツを採用したとは考えにくいのです。火災の際に火傷を負う可能性もあり、CVC(Combat Vehicle Crew)用やフライト用のブーツとしても採用されたとはも思えません。よって、今回紹介する2つのブーツには米軍官給品を示す刻印があるようですが、官給品を個人で改造したものと判断します。もしかすると、試作品かもしれません。
交換後まただいぶ磨り減ったようですが、ソールは交換されています。1950年代から1960年代中期まで生産されたツウキャップ(つま先の補強)付きの黒革製コンバットブーツを改造したもののようです。
余談ですが、黒革製でも茶革製でもツウキャップ付きのブーツはよくジャンプブーツと間違えられますが、それは違います。ブーツの外側側面の縫い目、先端の形状、ツウキャップの縫い目などがジャンプブーツとその他のツウキャップ付きブーツでは違います。文章だけでは分かりにくいと思うので、いずれ写真を挙げて紹介したいと思いますが、茶革製ジャンプブーツをまだ入手していないのでいつの更新になるか分かりません。

改造なしの同時期の黒革製コンバットブーツとの刻印の比較です。見にくいと思いますが、改造なしの方は「10N GJ 7-65」、サイドジッパー付きは「10R ?? 7-62」と表記されています。最初の10Nと10Rはサイズ表記、最後の7-65と7-62は65年製と62年製を示しているようですが、他は調査中です。刻印から本来は官給品であることが分かります。
TALONのブラスジッパーが使われています。片方は上部がそろっているのに、片方は上部が揃っていないという縫い方の適当さが試作品ではなく改造品であるという感じを出しています。
2足目は1960年代中期から1970年代中期まで生産されたタイプの黒革製コンバットブーツを改造したもののようです。
1960年代中期から黒革製コンバットブーツのソールはシェブロン型ソールに代わりました。これはそのシェブロン型ソールのブーツの改造品のようです。また、ジッパーは1足目のブーツのものと同型と思われるTALONのブラスジッパーが使われています。
同時期の黒革製コンバットブーツ(厳密にはこちらは上半分と下半分のアイレットの間に隙間のある1970年代中期から1980年代中期まで生産されていたタイプですが)との刻印の比較です。見にくいと思いますが、改造なしの方は「7 1/2W PJ 5-76」、サイドジッパー付きは「11N GJ 11-73」と表記されています。
ジッパーが同型と思われること、ジッパー周辺部分の縫い方が似ていることから考えると、同一業者(もしくは同一人物)による改造品の可能性が考えられます。官給品改造品ですが、米軍将兵の使用品ではなく、放出後に民間で改造されたものである可能性も否定できません。なお、自分はこの2足のブーツをどちらとも同じ方から購入しました。
